給料から洋服代やクリーニング代が天引きされた。違法ではないのか

給与トラブル

こんにちは、ナイトワーク法律相談所です。

経費として洋服のクリーニング代等が差し引かれ、実質低賃金、ほぼ無給のような金額で働かされていた場合、違法ではないのか。

また、回収することは可能なのかという質問について回答します。

1給料は全額支払いが原則

まず、キャバクラやガールズバーで働くキャストの雇用形態は大きく分けて、労働者と個人事業主の2通りあるかと思います。

働き方を自由に決められる場合や給与のほとんどが歩合の場合は個人事業主として契約していると考えてよいかと思います。

時給制で、出勤に関して店側から指示を受ける立場の場合は,労働基準法の適用を受ける労働者と考えられます。

個人事業主として契約している場合、店との契約内容に従って決まりますので、ここでは労働者として契約している場合についてお話します。

労働基準法24条1項は,給与の全額払いの原則を定めています。

ただし、法令に別途定めのある場合や労使協定に規定されている場合は給料からの天引きが認められています。

つまり、給与からの天引きは,法律上認められた場合に限って許されるものであり,そうでなければ違法な天引きとして返してもらうことが可能です。

2労使協定に定めがあれば違法ではない

洋服代(制服代)や衣装のクリーニング代については、法令の定めがありませんので、労使協定によって洋服代(制服代)やクリーニング代を給料から天引きすることが定められていれば、給料から洋服代やクリーニング代を控除することも違法ではないということになります。

もっとも,諸経費として高額の洋服代やクリーニング代が給料から差し引かれた結果、実質低賃金、ほぼ無給となっている場合、労使協定でそのような取り決めを許容していることは考えにくく、違法である可能性があります。

また,洋服代やクリーニング代を労働者に負担させる場合、雇用契約書にも明記することが必要です(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条1項6号)。

さらに、就業規則の作成・届け出義務のある店舗の場合(常時10人以上の労働者を使用する場合)、洋服代やクリーニング代を労働者に負担させる場合は就業規則に明示する義務があります(労働基準法89条5号)ので確認しましょう。

3違法に天引きされた費用を回収する方法

もし、高額の洋服代やクリーニング代が給料から天引きされて、実質低賃金、ほぼ無給状態で働いているという場合、上記のとおり違法の可能性があります。

違法である場合、労働契約の解除や違法に天引きされた費用の返還を求めることができます。

しかし、一般的に、労働者は「給料をもらう」という弱い立場に立たされており,お店に違法であることを伝え、給料の返還交渉をすることには困難を伴います。

給料にまつわるトラブルについては、弁護士に相談することで、弁護士がご本人の代理人としてお店とトラブルに介入し、迅速・円滑に回収することが可能です。

あなたの給料が違法に天引きされているかもしれないと感じたら、お早目に弁護士にご相談ください。